【2020年版】動画編集用のおすすめ自作PCの構成3選

最終更新日: 2020年08月14日 8979 views
2020/8/14に構成を更新しました。

ヒカキンさんなどのYoutuberが高額なMac ProなどのハイスペックPCを購入していらっしゃることをご存知の方も多いと思いますが、
動画編集に要求されるPCのスペックは非常に高いものとなっています。

より高い性能のマシンを使用するほど時間を削減でき、編集作業のストレスも減らせるので、
プロであればあるほど逆にコストパフォーマンスがよくなります。

既成のハイスペックPCは動作保証があるという点で魅力的ですが、
自作PCに抵抗がない方には実はハイスペックPCであるほど自作することがおすすめです。
昔は相性問題などがあり、自作PCはリスクのあることでしたが、現在は規格が統一化されてきており、
プラモデルを組む程度の簡単さでちゃんと動くPCを組むことができます。

大量生産可能な格安PCとは異なりハイスペックのPCであれば、
既製品を購入するよりも自作したほうがかなりコストを抑えることができます。

また、長期的にPCを使用するのであれば、同じケースと電源で新しいCPUやGPUに入れ替えたりすることができるので、
ロングランではさらにお得になります。

今回は7万円の予算から100万円までのマシンまで2020年それぞれの予算内で
主にPremier Proを用いた動画編集用に最もコストパフォーマンスが高いと思われる構成をご紹介いたします。

DaVinci Resolveを使用される方は、DaVinci Resolveにおすすめの自作PCの構成の記事をご参照ください。

AfterEffectsを使用される方After Effectsにおすすめの自作PCを確認してください。
AfterEffectsに第二世代までのThreadripperシリーズはおすすめできません。
After Effectsはほとんどの処理がシングルスレッドで実行されるため、シングルスレッド性能が高いものを選ぶ必要があります。

動画編集で用いられるPC側のハードウェア

 
動画編集では一般的に次の作業フローが取られるかと思います。



  • 動画素材をプロジェクトに取り込む
  • シーケンスを作り、だいたいのカットを切り出す
  • 何度もタイムラインを繰り返し再生し、カットの順番入れ替えやカットを削るなどの編集をする
  • トランジション(画面切り替え)を作り、エフェクトを追加し、字幕などの文字や画像を入れる
  • 音声や効果音、BGMを追加する
  • プロジェクトを動画ファイルへと書き出す

この作業の中で行われる処理をハードウェア側で行われる処理に分類すると次の6つに分かれます。
  1. 保存先から動画素材(データ)を読み出す
  2. 動画素材は何らかのファイル形式になっており、それを閲覧可能な連続した画像に変換する
  3. 動画素材に対してカラーグレーディングとエフェクトをかける。
  4. 何度も再生される動画部分をメモリにキャッシュする
  5. 連続した画像をH.264などのコーデックに変換する
  6. コーデックに変換されたデータをストレージに保存する

以上の6つの処理を最適化できるハードウェアを選んでいきます。

撮影した動画素材の読み出し/ロード

 
動画の読み出し部分は簡単です。

動画の撮影時にSDカードに保存していらっしゃる場合は、SDカードリーダーはUSB3.0を使えるようにして、
PCケース側にもUSB3.0が複数あるものを選ぶ必要があります。

ATOMOSのSHOGUNやNINJAでSSDやHDDに保存していらっしゃる場合は、
もちろんUSB3.0などで転送しても良いですが、そのままSSDやHDDをPCのシャドウベイにいれてしまえば、
わざわざデータを転送することなく編集に使用することができます。
いずれにせよPCケース側でUSB3.0の入力は必須といえるでしょう。

多くの方の場合は、一度HDDやSSDに保存するかと思いますが、速度を考えるとHDD、SATA接続のSSD、NVMe接続のSSDの順に速くなります。
小さなファイルではSATA接続のSSDとNVMe接続の差は顕著になりませんが、動画などの大容量ファイルになると大きな差が開いてきます。
最大転送速度は7倍ほど違い、大容量ファイルになれば、実際に6倍程度の差は出ます。
実はNVMe接続の中でも速度の速いSSDと遅めのSSDもあります。
Samsungは一般的に速いと言われます。
今年中には販売されるはずのSamsung SSD 980 PROは1秒間に5GBを書き込め、6.5GBを読み出せます。

SATA接続のSSDではベンチマーク上で速くても1秒間に500MB程度しか読み書きできません。
一般的にHDDでは1秒間に100MB程度しか読み書きできません。
実はHDDからSSDに変えるよりも2.5インチSATA接続のSSDからNVMe接続のSSDに変えるほうが大きく速度が上がります

結論:NVMe接続のSSDを必ず使いましょう。

動画素材のデコード

 
保存されている素材の動画は、raw画像やjpeg画像が並んでいるわけではなく、
ストレージ容量を抑えるために圧縮処理をほどこした状態で保存されています。(非圧縮RAWで保存した場合を除く)

動画をディスプレイ上でスムーズに視聴するためには、この圧縮された動画を画面に写し出すRGB情報が並んだ状態(画像と同じ状態)に変換する必要があります。
このデコードという作業はCPUで実行されます。このデコード処理は、ファイル形式によって最適なCPUが変わってきます。

一般的に圧縮率が高いファイル形式ほど高性能なCPUが要求されます。

また、シングルコアでの性能が高い方がよいコーデックもあれば、コア数の多いCPUのほうが高速にデコードできるコーデックもあります。
もちろん、この2つの指標だけでは決まるわけではなく、ソフトウェア側でCPUの性能を活かせるかどうかなど多要素で性能は決まります。

H.264、ProRes 422、XAVC、RED、CinemaDNGの各タイプの大まかな傾向をご紹介します。
  • 4K H.264: 第3世代Threadripperが抜群のパフォーマンス。比較的Intelの9900Kや10980XEなどのCore i9が良い性能を出す
  • 4K ProRes 422: コア数が多い方が良い。第3世代Threadripperが抜群で、第3世代Ryzenも良いパフォーマンス。IntelのCore i9シリーズは性能を引き出せない。
  • 4K RED: 第3世代Threadripperが抜群。第三世代Ryzenも良い。IntelのCore i7やi9はイマイチ。
  • 4K CinemaRaw Light: 第3世代Threadripperが良い性能。Core i9の18コアも比較的良い性能を出す。
  • 8K H.265: Intelの Core i9シリーズが第3世代ThreadripperやRyzenよりよい性能を出す。
  • 8K RED: 第3世代Threadripperや第3世代Ryzenが良い性能を出す。

この性能を見るとIntelのCore i9の上位モデルを選ぶべき場合は、8K H.265を使用するときだと分かりますが、8K H.265を使用する方がこの記事を読むことはあるのでしょうか、、、

お金があれば、基本的に第3世代Threadripperが買いですがCPUだけで20万円前後します。

ここまで出せない場合、
  • 4K H.264なら、Core i9シリーズがおすすめです。ほとんどの人が当てはまるかと思います。
  • それ以外のコーデックの使用であれば第3世代Ryzenがおすすめです。

大まかなイメージでは、2018年以降発売のCPUで
4K 30pの再生(30fpsでのデコード)には少なくとも4コア、グレーディングには6コアは最低でも必要になります。
4K 60pの再生(60fpsでのデコード)には少なくとも6コア、グレーディングには8コアは最低でも必要になります。
8K 60pの再生(60fpsでのデコード)には少なくとも12コア、グレーディングには16コアは最低でも必要です。

これ以下のCPUですと編集時のプレビューでコマ落ちしてしまいます。

動画素材に対するエフェクト、トランジション、トリミング、タイトル

 
もしエフェクトを頻繁に使うのであれば、クロック周波数が高くシングルスレッドの性能が高いCPUが必要になります。
デコードや画面全体のカラーグレーディングなどであれば、複数のコアで並列に処理することが可能ですが、
連続したエフェクトおよびフレーム間でのエフェクトは直列での処理しかできず、1つのコアでの処理になるからです。

たとえば
  1. タイムリマップ(再生速度の変化)
  2. カラー補正
  3. 明るさ
  4. コントラスト調整
  5. グロー
を行う場合、5つのコアにそれぞれの処理を並列で任せることはできません。順番に行っていくしかないのです。

1フレーム1コアで処理させればいいじゃないかと思われるかもしれません。
しかし、思い出してみてください。最初にタイムリマップしていますよね?
タイムリマップの処理を複数のコアで実行することはできないため、それ以後の処理も基本的に1つのコアで行うことになってしまうのです。

同様にトランジションの追加やトリミング、タイトルの追加などの処理も基本的にシングルスレッドで実行されます。

まとめますと、編集らしい編集を行っている間は、シングルコアでの処理が増えるため、
高クロック周波数でシングルコア性能の高いCPUが有利になります。
具体的にはCore i9 9900Kがコストパフォーマンスに優れています
第3世代Threadripperは高額ですが、非常に高い性能を誇ります。

動画素材のメモリでのキャッシュ

 
動画編集は何度もシーケンスを再生することになりますが、
毎回毎回もとの素材に対してエフェクトやカラーグレーディングを計算していると膨大な時間がかかってしまいます。
そのため、ソフトウェア側で一度計算した結果をどこかに保存しておくわけです。
これをキャッシュと呼びます。

この保存先がストレージだと読み出し/書き込みに時間がかかってしまいます。
理論上最速のSSD(4GB/s)と比べても理論上DDR4メモリは20GB/s程度で5倍ほど速くなります。
通常のHDDであれば100MB/s、速めのSSDで500MB/s、メモリで7000MB/sくらいになります。

また、動画を再生しているときは、先読みして先のフレームをしてそれをメモリにキャッシュしています。(バッファーと呼びます)

メモリの転送速度はメモリの世代(DDR4やDDR3など)と動作周波数(2666Mhzなど)によって主に決まります。
世代が新しいほど(DDR4など)、そして動作周波数が高いほど速度が速くなります。
説明のために例をあげると、DDR4-5000のメモリは最新世代でかつ5000MHzで動作するため、
40GB/s程度の転送速度となりDDR4-2400のメモリの倍程度の転送速度になります。
もちろんDDR4-5000のメモリはとんでもなく高い(8GBx2枚で13万円)ので、コストパフォーマンスは悪くおすすめしません。

また上の画像ではDDR4-2666を100%の速度としたときの他のメモリ(32GB, 64GB、 3600MHz, 3200Mhz, 3000Mhz)の
速度をスコアリングしたベンチマークになりますが、CPUによって速度が変わってきます。
一概に高周波数が良いとは言えないようです。

これまでの説明で、メモリの性能の見方がだいたい分かると思いますが、
実際どれくらいの性能でどれくらいの容量を用意すれば一番コストパフォーマンスに優れているのか気になりますよね。
ずばり次のとおりになります。

DDR4のメモリをできるだけ大きな容量買う。

ただし大容量メモリに対応したマザーボードは高くなるので、気をつける必要があります。
32GBは最低でもほしいところです。
予算が許せば128GBでも256GBでもあっても良いと思います。

256GB以上のメモリの場合はマザーボードやその他の設定が専門的になるので、
かなりしっかりと調べる必要はありますので、ぜひ一度私達にご連絡してください。
1TBメモリのマシンで200万円程度以上、2TBメモリのマシンで400万円前後予算を見ていただければ良いでしょう。

プロジェクトの動画ファイルへの書き出し(レンダリング/エキスポート)

 
エフェクトやトランジションなどが終わり、完成動画ができても、まだ終了ではありません。
動画をH.264 MP4などの何らかの形式に変換する必要があります。

既に完成した動画の各フレーム画像情報はメモリにキャッシュされているとします。
動画は似た画像がたくさん続いています。
画像情報を全部保存すると非常に大きなファイルになってしまいますので、
差分(フレーム間予測)や周波数成分に分解した上での不要部分カットなどを行っています。
この処理をエンコーディングと呼びます。

動画のエキスポートにかかる時間を計測した上での性能としては、第3世代Threadripperが頭一つ抜けた性能を出しています。
動画のデコード(読み込み)では第3世代ThreadripperとCore i9 10980XEなどは互角で、
Core i9 9900K
も高いスコアを出していましたが、エキスポートではデコードのときと逆転している箇所もちらほらあります。

編集し終えた動画がすべて載せられるだけのメモリがない場合、動画ファイルへの書き出し時にストレージから読み出したり、
再生成したりするため非常に時間がかかってしまうので、全動画がメモリに載せられることは大切です。

動画編集におすすめのPCパーツ

 
ここまで読まれた方で、GPUは??
と思われた方が多いかと思います。

実は動画編集用のPCにおいてGPUはCPUと比較するほどあまり重要ではありません。
グラフィックカードというからには、動画にはGPUが一番大切だと思われる方も多いと思います。

もちろん一定レベル以上のGPUは必要ですが、Premier Proならば、過剰にハイスペックのGPUを用いても大きな性能の向上は望めません。
一方でDavinci ResolveはハイスペックのGPUが活かせます。
具体的に必要なレベルのGPUは後の項目でご紹介します。

動画編集におすすめのCPU

 

まずCPUですが、これまで解説してきた各場面でのベンチマークを元に総合的なスコアが上の図の通りになります。

予算が大きくとれる方は、第三世代のThreadripperがおすすめです。
CPUにかけられる額が10万円程度であれば、Ryzen 3950Xがおすすめです。
CPUにかけられる額が7万円程度であれば、Core i9 9900Kや9900X、AMDならRyzen 3900X(XT), 3800X(XT)がおすすめです。
RyzenのXTが末尾につくシリーズでは最大クロック周波数がXシリーズより4%ほど上がっており、価格がXシリーズとほぼ同じタイミングであれば、XTのほうが良いでしょう。

低予算でいくのであれば、Ryzen 3600X、3700X、3800X(XT)あたりがおすすめです。

動画編集におすすめのGPU

 

どれくらいのGPUがあれば快適な動画編集が行えるのか?

ずばり
  • 1080pならばGTX 1050ti 4GB
  • 4KならばGTX 1660 6GB
  • 6KならばRTX 2080 8GB以上
で十分になります。

AMDのGPUで有名なRadeon Ⅶ 16GBやVega 64 8GBなどは、コストパフォーマンス的には残念ながらPremier Proでは良いベンチマークは得られていません。

動画編集に必要なメモリ

動画編集に必要なメモリは動画のサイズ、長さやクリップの数によります。
動画のサイズが大きければそれだけ大きなメモリが必要です。
最終的な動画が長いほど大きなメモリが必要です。
多くのクリップから取捨選択しながら作成していく場合より多くのメモリが必要になります。

一般的なユーザーは最低で32GBのメモリがほしいでしょう。
できれば128GBのメモリを使いたいところです。

動画編集に必要なSSDとHDD

 
SSDはNVMe接続のものが最高速度を出せるのでおすすめです。
HDDの1GBあたりの単価はどんどん下がってきていますので、6TBのHDDを複数用意すると良いと思います。

予算別! おすすめのパーツリスト


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