【2020年度版】RAW現像/Photoshop フォトグラファー向け自作PC構成おすすめ4選

最終更新日: 2020年08月14日 2008 views
2020/8/14に構成を更新しました。

どんどん高画質、高画素になっていくカメラによりLightroomやPhotoshop編集の作業に必要とされるPCのスペックも上がってきています。
最適なPC、ワークステーションを使用することで、写真編集のスピードを上げるだけでなく作業のストレスも減り、確実に良い影響を与えてくれます。

この記事では、2020年で最もコストパフォーマンスの良いフォトグラファー向けの自作PCの構成を予算別・用途別3種類紹介いたします。
大きく分けてPhotoshopでGPUが使用可能なツールを使用するかどうかでおすすめする構成が変わってきます。






フォトグラファー向け自作PCパーツの選び方

ほとんどの方が知っていらっしゃると思いますが、
画像は各ピクセル内に赤(R)と緑(G)と青(B)の強さをたとえば0~255の間で表しています。
巨大な表の各セルに数値を埋めたものと同じになっています。
Lightroomなどの処理では、この各セルの数値に対して計算をして少し変更した新しい数値を生成しています。

とある画像が100pxx100px = 10,000個のセルでできているとします。
この各セルの計算を一人で左上から右下に順番にすべて計算していくのと、
10,000人が一人1つのセルの計算を担当した場合で比べると、
当然10,000人で並列に分担したほうが早くなります。

ただし、もし計算がとても難しくて普通の人には計算できなかったとしたら、
天才的な一人がすべて順番に計算するしか解決法はありません。

これとほぼ同じことがまさしく画像編集中のPCでは行われています。
簡単な処理は、10,000の単純な回路で計算し、難しい処理は、少ない数の複雑な回路で計算しています。

どの処理がCPUで行われ、どの処理がGPUで行われるのかは、年々変わってきており、
今までCPUメインだった処理がどんどんGPUで行われるようになってきています。

Photoshop、Lightroomでの性能について

PhotoshopやLightroom上での性能はCPUやGPUのスペックだけによって変わるわけではありません。
クロック周波数やグラフィックメモリなどは重要な要素ですが、相性の問題もあるため、
実際に走らせてみなければ分からないことも多くあります。

実際に各CPU, GPUでPhotoshop, Lightroomの様々なツールを用いてかかった時間を計測しスコアリングしたものがあります。



Puget Systems社というアメリカで法人向けにPCを制作販売している企業の提供している
Photoshop CCとLightroom CC用のベンチマークソフトを利用した結果を載せていきます。

Photoshop, Lightroomで使用するディスプレイとGPUの関係

Photoshop、Lightroomでは表示するディスプレイが4K, 5K, 6Kと大きくなるにつれてより高性能でVRAMの大きなGPUが必要になってきます。

RAW現像(Lightroom, Luminar)に求められる性能

RAW現像では、Lightroom、Luminar、Silkypix、Photomatixなどのソフトウェアを使用すると思いますが、
Lightroom以外(LuminarやSilkypix、Photomatixなど)は画面表示以外では基本的にGPUを使っていません
今後変わってくる可能性も高いですが、いずれもCPUが主に仕事をしています。

JPEGの書き出し作業ではGPUは基本的に何も仕事をせずCPUのみでファイルを作成しています。
Lightroomでは処理のプレビューや処理の反映などにGPUが使用されています。
そのためLigさくさく動くことを求めるのであればGPUが重要になってきます。

CPUのLightroom CCでの平均処理時間

 

この画像のとおり、Ryzen 9 3900Xが頭一つ抜き出た性能を出しています。
まだ3950Xのテストがでていませんが、おそらくこれを上回る性能だと考えられます。
一方で第二世代Threadripperはコア数の多さとは裏腹に、Lightroomでは十分その性能を活かせないようです。
3900XTは3900Xの最大クロック周波数だけを上げたモデルとなっており、そのときどきの販売価格次第ですが、現在は3900XTが最もコストパフォーマンスに優れているかと思われます。

GPUのLightroom CCでの平均処理時間

この画像の通りGPUなしのCPU内蔵グラフィックスではGPUを使った場合の25倍程度の処理時間がかかってしまいます。
GPUの違いの差もご覧の通り結構でています。
Radeon RX vega 64 8gbがRTX 2080より高い性能を出している点が驚くべき点です。
コストパフォーマンスを考えるとRX Vegaがベストだと思われますが、現在はほとんど販売されていないのが問題です。

Photoshopに求められる性能

Lightroomと比較してPhotoshopでは比較的GPUの使用頻度が高くなりますが、
それでもGPUの違いよりCPUの違いのほうがより体感的な違いを受けることができます。
これはソフトウェア側が十分にGPUの性能を活かすプログラムをまだ作れていないからです。

CPUはコア数が多ければ良いというものでもなく、8コア以上になるとソフトウェア側で十分にすべてのコアを使った並列処理ができないことが増えるため、大きな違いを生みません。

CPUのPhotoshop CCでの総合スコア

ご覧のとおり第二世代のThreadripperはあまりスコアがよくありませんでしたが、
第三世代のThreadripperと第3世代のRyzenはIntel Core i9の最上位モデルよりも高いスコアを出しています。
コストパフォーマンスを考えると、Ryzenシリーズの3950Xや3900X、3900XTが最もおすすめです。

ここまで来てXeonシリーズがないと思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、
今日ではCore i7, i9シリーズと比較して機能的な違いはほとんどありません。

そしてXeonシリーズのほうがクロック周波数が低めであるため、性能としては低めになってしまいます。
Xeonシリーズはサーバーなどの24時間365日動き続ける必要のあるシステムでの使用がメインになっています。

GPUのPhotoshop CCでの総合スコア

 

一番値段の高いTitan RTX 24GBが最高スコアを出していますが、2080 Tiや2080 SUPERと大きな差はありません。
そして何より驚くべきポイントは現在3万円少しで販売されているRadeon RX vega 64 8GBが2080 Tiとほぼ同じスコアを出せていることです。
AMDのGPUを使うことに抵抗がなく手に入れることができるのであれば、Radeon RX vega 64は最もコストパフォーマンスに優れた良い選択の1つでしょう。
おそらく2020年以降ではほぼ入手不可能ですので、RTX 2070がコストパフォーマンスを考えるとおすすめです。

おすすめのCPU

以上のベンチマークを踏まえた上で、Photoshop, LightroomなどのRAW現像ソフトウェア用におすすめのCPUは
・Ryzen 9 3950X
Ryzen 9 3900X(XT)
・Ryzen 7 3800X(XT)
・Intel Core i9 9900K
の4つになります。
2020年現在ではIntelと比較してAMDのほうが同じ価格帯では高いパフォーマンスを出しています。

おすすめのGPU

上記のベンチマークを踏まえた上で、Photoshop, LightroomなどのRAW現像ソフト用におすすめのGPUは
・Radeon RX vega 64 8gb
GeForce RTX 2070 8GB
・GeForce RTX 2080 8GB
・GeForce RTX 2080 SUPER 8GB
の4つになります。
コストパフォーマンスではAMDのvegaが優れていますが、現在のドライバーやソフトウェア側での安定性を考えるとNvidiaのGeForceシリーズのほうが安全ではあります。
予算的に厳しいが、安定性がほしい場合は、GTX 1060やGTX 1660Tiなどでも十分PhotoshopやLightroomを快適に使用できます。

GPUの2枚挿しなどの複数枚の使用について

PhotoshopやLightroomでは複数枚のGPUを使用しても大きな差は得られません。
それはソフトウェア側で十分活用できないからです。

QuadroシリーズのGPUがこのリストにない理由

かつては1色あたり10bitの色深度を利用するには、Quadroが必要でしたが、
2019年7月にでたドライバー以降ではGeForceシリーズでも10bit/colorでRGBで30bitカラー出力が可能になりました。
30bitカラー出力可能なディスプレイをお持ちの方も安心してGeForceシリーズを使って頂くことができます。

おすすめのメモリ

 
実はここからが最も大切なところになります。
CPUやGPUなどは誰もが聞きたい話だと思いますが、PhotoshopやLightroomの使用感に最も寄与するのはメモリとSSDです。
特に高画素数の画像ファイルを複数枚同時にPhotoshopとLightroomなどで編集する場合はメモリが最低32GB以上ほしいところです。

10万円のPCに5万円追加するのであれば、メモリとストレージとそれを使用できるマザーボードにお金をかけたほうが良いでしょう。
メモリは最低でも16GB、できれば64GBほしいところです。

データの保存ストレージについて

編集するデータは基本的にSSD上にあったほうが良いでしょう。
HDDは長期間読み書きすることがないデータのみにしておきたいです。
と考えると1TB程度のSSDがほしいところです。

M.2 NVMe接続のSSD

また、上の画像のようなM.2インターフェースを使えるSSDのほうが読み書きの速度は上がります。

2.5インチのSATA接続のSSD

上の画像のような2.5インチのSATAインターフェースを使用したSSDは最大でも6Gbpsまでしか出ません。
一方でM.2のNVMe接続が可能なタイプは40Gbpsまで速度が出せ、SATA接続の約7倍の速さが出ます。
(mSATAは小さなSSDになりますが、最大速度は6Gbpsです)

データのバックアップについて(冗長性)

 

仕事で使用するマシンであれば、データのバックアップは必須でしょう。何重にもしている人も多いかと思います。
外部ハードディスクやNASでバックアップするのは当然だとしてもパソコン側での冗長性も持たせておくべきです。

最近はハードディスクの1GBあたりの価格が非常に低くなってきており、6TBのHDDも1万円程度で買えてしまいます。
よって、RAID1で2台のHDDにミラーリングすることをおすすめいたします。
速度が必要な処理は基本的にSSD上にあるべきですが、HDD側への転送も高速にしたい場合はRAID10がおすすめです。

おすすめのモニター、ディスプレイ

ディスプレイの価格はピンきりで、どこまでこだわる必要があるのかは、難しいところです。
写真家やアーティストによってWide Gamut RGBの色空間が必須と言う人もいれば、不要とおっしゃる方もいます。

どれだけ良いディスプレイが必要かは、撮影した写真をどこで誰に見せるかで考えると良いでしょう。
もしスマホユーザーに見せることが大半なのであれば、色の表示は端末ごとに違うのでWide Gamutなどは不要でしょう。
一方で大きくプリントするような広告や大スクリーンに写し出すのでしたら、正確な色空間を出力できるWide Gamutがおすすめです。
ちなみにGamutとは色域のことでワイドガマットとは広い色域というそのままの意味です。

色空間について(sRGB, Adobe RGB, NTSC, Wide Gamut RGB)

 

この上の図はxy色度図と呼ばれ、ディスプレイがどれくらい可視領域を表示できるかを表します。
色のついている場所はヒトが視認することができる範囲になり、
Wide Gamut RGB、NTSC、Adobe RGB、sRGBといった規格で表現できる色の範囲が三角形などの線の内側になります。

つまりこの三角形の大きさが大きいほどより広い範囲の色を表現でき、広い色域といえます。
Wide Gamut RGB > NTSC = Adobe RGB >sRGBの順番で広い色域を表現できます。

一般的なディスプレイのスペック上ではAdobe RGBやDCI-P3のカバー率を見ていただければ、
Adobe RGB(or DCI-P3)の何%を表現できるかが分かります。
(DCI-P3はAdobe RGBとほぼ同じ面積ですが、多少右側に寄っています。)



Adobe RGB比は、上図のxy色度図上での面積比ですので、Adobe RGBのカバー率とは異なります。
カバー率のほうが実際の使用では意識していただければ良いと思います。

おすすめのディスプレイだけでこの記事と同じくらいの量になるので、別にわけて公開しようと思います。

CPU, GPUのデータ

おまけですが、せっかくPhotoshopでのスコアのグラフを作成したので載せておきます。
Photoshopの各種処理を行ったときのCPU, GPU別の処理時間などのベンチマーク

予算別! おすすめのパーツリスト


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