【フローチャート付き】CPUクーラーの選び方

最終更新日: 2020年03月05日 3340 views
みなさん、CPUクーラーを適当に選んでませんか?
適当に選んでもとりあえず動く、そのとおりです。
ただし、実はCPUクーラー選びは熱処理の最も大事なパートといえるものなのです。
PCケースと各パーツの配置に合わせた適切なCPUクーラーを選ばなければ、スペック上では十分冷やせるはずでも熱がこもってしまう場合があります。

CPUクーラーの選び方の基本


つまらないですが、当たり前のところから始めます。

マザーボードとCPUクーラーのソケット形状

マザーボードのソケット形状と対応したCPUクーラーを選ぶ必要があります。
PC自作.comでは自動でマザーボードとCPUクーラーのソケット形状が対応しているかを判断してパーツリストを組むことができます。

CPUクーラーのサイズ(PCケースやメモリとの干渉)

RAIJINTEK Metis plusなどはクーラー高160mmまで対応していたり、Lian Li製のケースでは140mmまでだったりします。
またヒートシンクの大きいメモリはトップフロー型のクーラーに接触してしまう可能性があります。

ここからしっかりと検討すべきポイントの話しになります。

CPUクーラーのTDP

CPUクーラーは主にCPUを冷やします。
わかりやすく言うと
「1秒間にCPUから生まれる熱」を「1秒以内に冷やす」能力があるCPUクーラーを選ぶ必要があります。
そうでなければ、CPUの温度は上がり続けてしまいます。(実際は温度を検知してCPUが処理を遅くします)

CPUから生まれる熱は常に同じというわけではなく、高いときや低いときがあるので、平均的にみてCPUクーラーがそのCPUを十分冷やすことができるかをおおよそ予測します。
すなわちPCの使用用途によって、どのようなCPUクーラーを選べば良いのかが変わります

CPUのTDPと消費電力の関係


TDPとはThermal Design Powerの略で、もともとの意味としては、取り付けるべきCPUクーラーの放熱性を示していました
昔のCPUは1コアで一定のクロック周波数で動いていたため、CPUの消費電力は常に一定でした。
そのため、事前にCPU消費電力が分かり、それ以上の放熱性があるCPUクーラーを選べば良いだけでした。

しかし、多コアのCPUでは、常に全コアが動いているわけではない点と、クロック周波数が変動する点、によって消費電力が一定ではなくなりました

CPUの消費電力は必要に応じた可変となりましたが、リミットも設けられるようになりました。
  • ある一定以上の消費電力が10秒程度などの時間続くと、消費電力を下げる仕組み
  • 長時間高い消費電力を必要とする場合は一定の消費電力に抑え続ける仕組み
などです。

CPUクーラーは瞬間的な高消費電力以上の放熱性は必ずしも必要ではありません。
常に最大消費電力で走らせ続けるわけではない場合(普通の使い方)次の指標を参考にしてください。

AMDのPPT(長時間電力制限)
マザーボード上で長時間電力制限は変更することができますが、標準的な初期設定は次の通りです。
  • Ryzen 9 3950X: TDP 105W → PPT 142W
  • Ryzen 9 3900X: TDP 105W → PPT 142W
  • Ryzen 9 3800X: TDP 105W → PPT 142W
  • Ryzen 7 3700X: TDP 65W  →  PPT 88W
  • Ryzen 5 3600X :   TDP 95W  →  PPT 128W
  • RYzen 5 3600   :   TDP 65W → PPT 88W

IntelのPL1(長時間電力制限)
Intelの長時間電力制限は、初期設定が決められていないため、BIOS次第となっています。
PL1が長時間電力制限で、PL2は短時間電力制限です。
短時間の間であれば、高い消費電力を出せるので、PL2の値のほうがPL1より高い数値です。
本来はPL1はTDPと同じ値のはずですが、BIOS側ではTDPの1.4倍程度になっている場合が多いです。

AMDのTDPとPPTの比と同じくらいだと考えてください。

ちなみにPL2はPL1の1.25倍程度が標準的です。

有名なCPUクーラーのTDP例
  • Noctua NH-L9i             : 65W
  • Noctua NH-L9a            : 95W
  • Contac Silent 12          : 150W
  • 虎徹 Mark Ⅱ                 : 180Wくらい
  • cryorig r1 universal v2 : 240W+
  • cryorig r1 ultimate       : 240W+
  • Noctua NH-D14          : 240W+
  • Dark Rock Pro 4          : 250W
  • Gamer Storm Assassin Ⅲ : 280W
  • Le GRAND MACHO RT: 320W
  • 水冷 240mm               : 200~330Wくらい
  • 水冷 360mm               : 250~360Wくらい

公称されているTDPはあくまでも参考程度です。
基本的に、
  • ヒートシンク(金属の板がたくさん並んでいるところ)が大きいほど
  • ファンの数が多いほど
  • ファンのサイズが大きいほど(14cm > 12cm)
TDPは大きな値となります。

CPUクーラーのTDPのまとめ

まとめますとCPUクーラーは、CPUのTDPのおよそ1.4倍以上の熱放出性能(TDP)があるものを選ぶべきです。

CPUクーラーのタイプの選び方



CPUクーラーの冷却方式(水冷/トップフロー/サイドフロー)

CPUクーラーは大きくわけて
  • サイドフロー型
  • トップフロー型
  • 簡易水冷型
  • 本格水冷型
  • ファンレス型
があります。

本格水冷は費用面でかなりかかる点と、手間がかかるため当記事ではとりあげません。
ファンレス型はファンがないため静音性に優れていますが、非常に大きくなるため、この記事ではとりあげません。

サイドフロー

サイドフロー型は、2020年現在で最も一般的なCPUクーラーのタイプです。
特徴としてメリットは、
  • ケース全体のエアフローを最適化できる
  • トップフローと比較して放熱性に優れている。
  • 乱流が生まれず、静音性に優れている。
一方でデメリットとしては
  • 大きくなりやすい。
という点があげられます。

PCケース内のエアフローがサイドフロー型で最適化できる理由
エアフローが最適化できる理由を解説します。
ファンの風向き

ファンには青い楕円で囲ったマークがついており、それが風向きとファンの回転方向を示しています。

ファンの風向きは多くの場合、フレームがあり、シールが貼ってある側から空気が出てくる向きになっています。(上画像参照)


PCケースに一定の風向きで空気が流れる場合、乱流ができずに、熱い空気が速やかにPCケース外に送り出されます。

トップフロー

トップフロー型は、かつては一般的なCPUクーラーでしたが、近年はあまり使われないようになってきています。
メリットは、
  • 小型にできる。とくにクーラー高を低くできる。
  • マザーボードにもエアフローが行き、マザーボードとM.2 SSD, メモリを冷却しやすい。
  • 14cmの大きなファンをとりつけやすい。
点がある一方で、デメリットは
  • PCケース全体のエアフローは乱れる。
  • 商品数が少なく、選択肢が少ない。
 
 大きいファンをつけることができるため、mini-itxではマザボ全面的に空気をあてることができます。
Mini-ITXでは選ばれる頻度が高くなっています。

簡易水冷型

簡易水冷型は、近年盛り上がりを見せています。
かつては故障や水漏れなどのトラブルが多かったため、避ける人が多かったのですが、最近は比較的安定した製品が1~2万円程度で手に入るようになってきています。

水冷型の特徴としては、
  • CPUの上にはクーラーヘッドしか乗らないため、マザーボードの上の空気が熱くなりにくい。
  • (上と同じ)ラジエーターをケースの端に置くことで、PCケース内にCPUからの熱を閉じ込めないで済む。
  • 冷却液は比熱が高いため、瞬間的なCPUの熱を吸収することができる。
デメリットとしては、
  • 価格が高い。
ことがあげられます。

水冷型CPUクーラーの特徴を詳しく解説
とくに水冷型に興味がない方は読み飛ばしてください。

空冷型と水冷型のクーラーの決定的な違いは2点です。
その2点の違いによる水冷型のメリットは、
  1. どこで放熱するかを変えることができる(ケースの端で放熱可能)
  2. 空冷のヒートシンクより多くの熱を冷却液で吸収する(貯める)ことができる。

水冷型は、どこで放熱するか変えることができる。
空冷型のCPUクーラーでは、CPUの上にヒートシンクがあり、熱を空気中に放熱する場所はCPUの上になります。
CPUはPCケースの中央にあるため、熱くなった空気はPCケースの中央付近に存在します。
もちろんファンが空気を散らすわけですが、PCケースのどこかに熱い空気が追いやられることに違いはありません。

一方で水冷型は、熱をCPUの上から冷却液を通して、ラジエーター(ファンがある部分)に移動させることができます。
ラジエーターをPCケースの外に出してしまえば、放熱する場所はPCケースの外になります。
CPUから生み出された熱はPCケースの外に流れ出ていくため、PCケースの中の空気は熱くなりにくくなります。
これはGPUはメモリ、電源といった他のパーツへの熱を下げることにつながります。

多くの熱を冷却液に貯めることができる。
空冷型のCPUクーラーでは、
CPU→ヒートシンク→空気
の順番に熱が移動します。

一方で水冷型のCPUクーラーでは、
CPU→冷却液→ラジエーター→空気
の順番に熱が移動します。

ヒートシンクは金属(銅)でできており、金属のグラムあたりの比熱(貯めることができる熱)は0.4 [J/g・K] 程度である一方、
冷却液(クーラント)の比熱は、その10倍の4 [J/g・K] 程度もあります。
すなわち同じ重量のヒートシンクと冷却液であれば、貯めることができる熱は冷却液のほうが10倍多くなります。

CPUから出る熱は、消費電力とほぼ同じであり、基本的に変動しています。
重い処理が走るとたくさんの熱がでて、それ以外のときはあまり熱が出ていません。

30秒間CPUが100%走れば終わる重い処理をCPUが行うと仮定します。
空冷型であれば、
5秒でCPUの熱が100℃近くに達して、CPUは50%の負荷になるように計算速度を遅くしました。
最終的に処理が終わったのは5+25*2 = 55秒でした。

水冷型であれば、
おおよそ50秒間同じ負荷の処理を行って、100℃近くに達します。
30秒で終わる処理は30秒で終わらせることができました。

このような違いが生まれます。

自作PC.com では簡単にパーツリストを作れます

PC自作.com では互換性をチェックしながら パーツリストを構成 することができます。

CPUを決めれば、それに対応したマザーボードやCPUクーラーだけから選ぶことができます。マザーボードが決まっていれば、そのフォームファクタ以上のPCケースのみから選ぶことができます。

全体での 推定消費電力を自動で計算 し、その2倍の電源をおすすめします。

もちろん各スペックごとの 絞り込み も同時で行うことや、 検索 も行えます。作成したパーツリストは 複数保存 することができます。パーツリストを誰かと 共有 することもできます。

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